信頼の中味
先日、ある若い管理職と話をした。彼は上層部から指導という名の攻撃を受け、心身ともに疲れ果てていたが転勤になり気持ちが楽になったという。新しい職場では多くの部下たちに信頼され、これからの彼の仕事振りに熱い期待が寄せられているらしい。彼は嬉しそうな顔で「どう思う?」と尋ねた。
「それはよかった」と私は言った。そして今度は私が尋ねた。
「そのことで考えられる困難は何だと思うか?」
「忙しくなるだろう」と笑った。そして顔が曇った。
彼はわかったのだ。
特定の人にバッシングを受けているときはまだいい。なぜなら不当な攻撃ならそれをかわしたり対抗する術を学べる。また、理にかなったことなら自分の行動変容の選択肢を学べる。
しかし、多くの人たちからの「信頼」という名に隠れた期待は恐い。それに外れる行動は「不信」というレッテルを貼られる。人によって期待の中身が違うので彼らの信頼に応えようとすればするほど深みにはまっていく。
「あの人はやってくれるだろうと思ったのに見当違いだった」
「信頼していたのに何を考えているのかわからない。他の管理職と変わらん」
「特定の人にだけいい顔をしている」などと自分たちの期待通りに動かなかったことで失望を感じる。
「あの人のことだから何か考えがあるのだろう」と言える人は少ない。
人の期待とはいろいろである。個人的な損得を要望する人から組織の活性化を望む人まである。自分の軸を持たないと次に訪れるのは恐ろしい集団の冷たいパワハラである。リーダーは孤独になることも覚悟しなければならない。
別れ際に彼に私の好きなことばを伝えた。
「成功の秘訣が何か知らないが失敗の秘訣ならわかる。それは全員を満足させようとすることだ。」 ビル・コスビー
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コメント
>「成功の秘訣が何か知らないが失敗の秘訣ならわかる。それは全員を満足させようとすることだ。」
この言葉には、愛と力があると感じます。事実を述べているのだけれど、その事実に気付かないときも多いですよね。特に責任ある立場になったりすると。
私など、目の前で寝ている人がいたり、あくびをしている人を見ると、この言葉がどれほど救いになるか。(笑)
投稿: daisy | 2006年5月17日 (水) 01時04分
その人の価値観にバランスを欠くと気づかないうちに失敗に導く道しるべになってしまいます。
価値観は車と同じ、定期的な点検整備をお勧めします。
投稿: pospos | 2006年5月19日 (金) 00時36分