ミラーボール
今年は暖冬のせいで電車の窓から見える菜の花がまぶしい。
今日も車内の出来事である。
私の前には白い杖を持った若い女性が座っていた。ある駅から隣に中年の男性が乗ってきて彼女の隣に座った。そして彼女のほうを見ると
「あんた、目が悪いんか?」と尋ねた。
こくりと女性はうなずいた。
はっと周囲の人の意識がそちらに集中した。あちこちでされていた雑談が止まったのだ。
「そりゃ、たいへんやろうなあ」
彼女は黙っている。
「でもあんた、目は見えんけど心は見えるやろ?」と聞いた。
「はい」
彼女は初めて声を出した。そして少し微笑んだ。
「わしもそれを大事にしとるんや」
ふと彼は前に座っている今時の若い男性に目を向けた。
彼は白い布で右手を吊っていた。
「にいちゃん、あんた、運動でもして骨を折ったんか?」
こくりと頷く。
「気いつけや」
駅に着いた。
おもむろに彼は「お父ちゃん、降りるで」といった。
向こうには足の不自由な男性が座っており、彼はその人の腕を支えるようにして降りていった。
人はミラーボールである。彼は家ではうるさがられているかもしれない。しかし、人生のある瞬間でキラッと光るかかわりができたら、そこにいた人たちは明るくなれるのだ。全人格的にできた人などなかなかいるものではない。いやな人がいてもその人の光の部分を見る目があれば、随分優しくなれる。
NLPには「三つの知覚の位置」というスキルがある。自分の目、相手の目、第三者の目で、ある出来事の一場面を椅子を使ってみる方法である。
自分の見方が凝り固まっていることすら気づかない自分を教えてくれる。
菜の花とともにほのぼのとした気分を与えてくれた時間だった。
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コメント
その人の「キラリと光る部分」に視点を向ける。いいなあと思います。
どうしても「人の否定的な部分」には、すぐ目が行くのが人情でしょうが・・・・
この話の中年の男性。
岐阜のあるお坊さんの行動や言動にも共通点があるように見えました。
投稿: Ya | 2007年3月 4日 (日) 19時35分
なろほど。そういわれて私もある人の顔が浮かびました。
その人もキラキラ光っています。(どこが)
投稿: pospos | 2007年3月 4日 (日) 22時08分
mixiから飛んできました。
改めましてご紹介ありがとうございました。
三つの知覚の位置は、気付きが多く得られるので、私の一番好きなワークです。
「いやな人がいてもその人の光の部分を見る目」
これは最近の私のテーマでもあります。
人は欠けている部分に目が行き易い、と聞いたことがあります。
光を見ることが多く出来ると、きっと楽に生きることができますよね?
投稿: れい子 | 2007年3月 7日 (水) 17時14分
れいこさん、コメントありがとうございます。
私たちは自分の光の部分も見るようにしたいですね。
どういうときに特に輝いているかも見てみると、そこにはたくさんの幸せのエッセンス、リソースがありますよ。
投稿: pospos | 2007年3月 7日 (水) 18時14分
文章を読んで情景が目に浮かびました。
おじさんの声も聞こえた気がしました。
とてもほのぼのとしました。
この愛すべき天真爛漫なおじさんを、
電車の中の何人の人々が好意的に見てくれていたんだろう。
全員が好意的だということはないの
かもしれませんが、できるだけたくさんの
人が優しい気持ちになっていますように…
と思わずにはいられませんでした。
この場に居合わせて、優しい気持ちに
なれた人は、天からのご褒美をもらったん
でしょうね。
私もご褒美がもらえる日を楽しみにして
おきます。
投稿: yoshie | 2007年3月 9日 (金) 18時52分
yoshieちゃん、
コメントありがとう。
読みながらyoshieちゃんの「ほのぼのスマイル」が浮かびましたよ。
そしてyoshieちゃんがご褒美を伝える人だと思っています。
投稿: pospos | 2007年3月11日 (日) 00時00分